社会人の宅建試験勉強

 宅建試験の過去問を取り上げ、過去問を通じて勉強をしていきます。
@過去問の解説
A過去問の選択肢や問題文を変更した場合はどうなるか
 という流れで進んで行きます。
 今回は平成17年度試験問題の解説をしながら、問題を通じて、応用を見ていきます。

問11
 Aは、所有する家屋を囲う塀の設置工事を業者Bに請け負わせたが、Bの工事によりこの塀は瑕疵がある状態となった。Aがその後この塀を含む家屋全部をCに賃貸し、Cが占有使用しているときに、この瑕疵により塀が崩れ、脇に駐車中のD所有の車を破損させた。A、B及びCは、この瑕疵があることを過失なく知らない。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。


1.Aは、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていれば、Dに対する損害賠償責任を免れることができる。

【解説】
 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
 つまり所有者であるAについては、無過失責任であり、たとえ損害の発生を防止するのに必要な注意をしていたとしても、Dに対する損害賠償責任は免れることができない。したがって本肢は誤り。

2.Bは、瑕疵(かし)を作り出したことに故意又は過失がなければ、Dに対する損害賠償責任を免れることができる。

【解説】
 占有者の場合は、瑕疵について故意又は過失がなければ責任を負うことはない。従って本旨は正しい記述。ちなみに民法では「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。 」と規定し、原則は故意・過失がある場合に損害賠償責任を負うこととなる。選択肢1の所有者の無過失責任が例外となる。

3.Cは、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていれば、Dに対する損害賠償責任を免れることができる。

【解説】
 選択肢1の解説にあるように、土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、まず第一にその工作物の占有者が、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならなくなり、占有者は責任を免れることとなる。したがって、本肢は正しい記述。

4.Dが、車の破損による損害賠償請求権を、損害及び加害者を知った時から3年間行使しなかったときは、この請求権は時効により消滅する。

【解説】
 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。よって、本肢は正しい記述となる。
 また、損害及び加害者を知らないままでも、不法行為の時から20年を経過したときは、同様に損害賠償を請求することができない。


平成17年度宅建本試験問題11から学ぶポイント(不法行為等)
 
 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

・未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。

・精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。ただし、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない。 (わざと酔っぱらった場合など)

1.責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2.監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う。

使用者等の責任 ※定番
1.ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2.使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3.1.2.の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

注文者の責任  ※定番
 注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。ただし、注文又は指図についてその注文者に過失があったときは、この限りでない。

1.土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2.前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3.前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。

★共同不法行為者の責任
1.数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
2.行為者を教唆した者及び幇助した者は、共同行為者とみなして、1.の規定を適用する。

 胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす。

★損害賠償の過失相殺
 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。


本問題以外で各自確認すべき事項

●不法行為による損害賠償と、債務不履行による損害賠償との相違点(相殺の可否、過失相殺は必要的か裁量的か、など)


過去問研究平成17年