【地上権】
地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。
1.設定行為で地上権の存続期間を定めなかった場合において、別段の慣習がないときは、地上権者は、いつでもその権利を放棄することができる。ただし、地代を支払うべきときは、一年前に予告をし、又は期限の到来していない一年分の地代を支払わなければならない。
2.地上権者が前項の規定によりその権利を放棄しないときは、裁判所は、当事者の請求により、二十年以上五十年以下の範囲内において、工作物又は竹木の種類及び状況その他地上権の設定当時の事情を考慮して、その存続期間を定める。
【永小作権】
永小作人は、小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利を有する。
永小作人は、その権利を他人に譲り渡し、又はその権利の存続期間内において耕作若しくは牧畜のため土地を賃貸することができる。ただし、設定行為で禁じたときは、この限りでない。
永小作人は、不可抗力によって、引き続き三年以上全く収益を得ず、又は五年以上小作料より少ない収益を得たときは、その権利を放棄することができる。
1.永小作権の存続期間は、二十年以上五十年以下とする。設定行為で五十年より長い期間を定めたときであっても、その期間は、五十年とする。
2.永小作権の設定は、更新することができる。ただし、その存続期間は、更新の時から五十年を超えることができない。
3.設定行為で永小作権の存続期間を定めなかったときは、その期間は、別段の慣習がある場合を除き、三十年とする。
【地役権】
地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。
1.地役権は、要役地(地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるものをいう。以下同じ。)の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転し、又は要役地について存する他の権利の目的となるものとする。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
2.地役権は、要役地から分離して譲り渡し、又は他の権利の目的とすることができない。
1.土地の共有者の一人は、その持分につき、その土地のために又はその土地について存する地役権を消滅させることができない。
2.土地の分割又はその一部の譲渡の場合には、地役権は、その各部のために又はその各部について存する。ただし、地役権がその性質により土地の一部のみに関するときは、この限りでない。
1.地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
2.土地の共有者の一人が時効によって地役権を取得したときは、他の共有者も、これを取得する。
3.共有者に対する時効の中断は、地役権を行使する各共有者に対してしなければ、その効力を生じない。
4.地役権を行使する共有者が数人ある場合には、その一人について時効の停止の原因があっても、時効は、各共有者のために進行する。
1.承役地の占有者が取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、地役権は、これによって消滅する。
2.地役権の消滅時効は、地役権者がその権利を行使することによって中断する。
1.消滅時効の期間は、継続的でなく行使される地役権については最後の行使の時から起算し、継続的に行使される地役権についてはその行使を妨げる事実が生じた時から起算する。
2.要役地が数人の共有に属する場合において、その一人のために時効の中断又は停止があるときは、その中断又は停止は、他の共有者のためにも、その効力を生ずる。
3.地役権者がその権利の一部を行使しないときは、その部分のみが時効によって消滅する。
【留置権】
1.他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。
2.占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。
※例;時計屋で時計を修理する。代金を支払わなければ、時計屋はその修理した時計を渡さなくていい。「代金を支払うまで、この時計は返さない!」と言える。
留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる。
1.留置権者は、留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができる。
2.果実は、まず債権の利息に充当し、なお残余があるときは元本に充当しなければならない。
1.留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有しなければならない。
2.留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができない。ただし、その物の保存に必要な使用をすることは、この限りでない。
3.留置権者が1.2.の規定に違反したときは、債務者は、留置権の消滅を請求することができる。
1.留置権者は、留置物について必要費を支出したときは、所有者にその償還をさせることができる。
2.留置権者は、留置物について有益費を支出したときは、これによる価格の増加が現存する場合に限り、所有者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、裁判所は、所有者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。
1.留置権の行使は、債権の消滅時効の進行を妨げない。
※先の例で言うと、例え時計屋が留置権の行使により、時計を占有していても、修理代を請求する権利について消滅時効が進んでいくということ。
債務者は、相当の担保を供して、留置権の消滅を請求することができる。
留置権は、留置権者が留置物の占有を失うことによって、消滅する。ただし、債務者の承諾を得て、留置物を賃貸し、又は質権の目的としたときは、この限りでない。
【先取特権】 1.先取特権者は、民法その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
1.先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
2.債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、1.と同様とする。
先取特権者は、
債権の全部の弁済を受けるまでは、目的物の全部についてその権利を行使することができる。
【先取特権の種類】 次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。
一 共益の費用
二 雇用関係
三 葬式の費用
四 日用品の供給
※一般の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、上記の順序従う。
次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の動産について先取特権を有する。
一 不動産の賃貸借
二 旅館の宿泊
三 旅客又は荷物の運輸
四 動産の保存
五 動産の売買
六 種苗又は肥料(蚕種又は蚕の飼養に供した桑葉を含む。以下同じ。)の供給
七 農業の労務
八 工業の労務
※(動産の先取特権の順位)
同一の動産について特別の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、次に掲げる順序に従う。この場合において、第二号に掲げる動産の保存の先取特権について数人の保存者があるときは、後の保存者が前の保存者に優先する。
一 不動産の賃貸、旅館の宿泊及び運輸の先取特権
二 動産の保存の先取特権
三 動産の売買、種苗又は肥料の供給、農業の労務及び工業の労務の先取特権 ※この場合において、第一順位の先取特権者は、その債権取得の時において第二順位又は第三順位の先取特権者があることを知っていたときは、これらの者に対して優先権を行使することができない。第一順位の先取特権者のために物を保存した者に対しても、同様とする。
次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の不動産について先取特権を有する。
一 不動産の保存
二 不動産の工事
三 不動産の売買
※ 同一の不動産について特別の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、上記の順序に従う。
※同一の不動産について売買が順次された場合には、売主相互間における不動産売買の先取特権の優先権の順位は、売買の前後による。
※一般の先取特権と特別の先取特権とが競合する場合には、特別の先取特権は、一般の先取特権に優先する。ただし、共益の費用の先取特権は、その利益を受けたすべての債権者に対して優先する効力を有する。
※同一の目的物について同一順位の先取特権者が数人あるときは、各先取特権者は、その債権額の割合に応じて弁済を受ける。
【先取特権の効力】
先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができない。
先取特権と動産質権とが競合する場合には、動産質権者は、動産の先取り特権の規定による第一順位の先取特権者と同一の権利を有する。
1.一般の先取特権者は、まず不動産以外の財産から弁済を受け、なお不足があるのでなければ、不動産から弁済を受けることができない。
2.一般の先取特権者は、不動産については、まず特別担保の目的とされていないものから弁済を受けなければならない。
3.一般の先取特権者は、1.2.の規定に従って配当に加入することを怠ったときは、その配当加入をしたならば弁済を受けることができた額については、登記をした第三者に対してその先取特権を行使することができない。
4.1.2.3.の規定は、不動産以外の財産の代価に先立って不動産の代価を配当し、又は他の不動産の代価に先立って特別担保の目的である不動産の代価を配当する場合には、適用しない。
一般の先取特権は、不動産について登記をしなくても、特別担保を有しない債権者に対抗することができる。ただし、登記をした第三者に対しては、この限りでない。
不動産の保存の先取特権の効力を保存するためには、保存行為が完了した後直ちに登記をしなければならない。
不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには、工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない。この場合において、工事の費用が予算額を超えるときは、先取特権は、その超過額については存在しない。
不動産の保存又は不動産工事の先取特権の登記の規定に従って登記をした先取特権は、抵当権に先立って行使することができる。
※登記の前後を問わず、不動産の保存又は工事の先取特権は抵当権に優先する。
不動産の売買の先取特権の効力を保存するためには、売買契約と同時に、不動産の代価又はその利息の弁済がされていない旨を登記しなければならない。
【質権】
質権者は、その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
質権は、譲り渡すことができない物をその目的とすることができない。
質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。
質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない。
質権は、元本、利息、違約金、質権の実行の費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
権者は、債権の弁済を受けるまでは、質物を留置することができる。ただし、この権利は、自己に対して優先権を有する債権者に対抗することができない。
質権者は、その権利の存続期間内において、自己の責任で、質物について、転質をすることができる。この場合において、転質をしたことによって生じた損失については、不可抗力によるものであっても、その責任を負う。
質権設定者は、設定行為又は債務の弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させ、その他法律に定める方法によらないで質物を処分させることを約することができない。
質権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、質物の全部についてその権利を行使することができる。
1.質権者は、質物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができる。
2.果実は、まず債権の利息に充当し、なお残余があるときは元本に充当しなければならない。
1.質権者は、善良な管理者の注意をもって、質物を占有しなければならない。
2.質権者は、債務者の承諾を得なければ、質物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができない。ただし、その物の保存に必要な使用をすることは、この限りでない。
3.質権者が1.2.の規定に違反したときは、債務者は、質権の消滅を請求することができる。
1.質権者は、質物について必要費を支出したときは、所有者にその償還をさせることができる。
2.質権者は、質物について有益費を支出したときは、これによる価格の増加が現存する場合に限り、所有者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、裁判所は、所有者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。
1.質権の行使は、債権の消滅時効の進行を妨げない。
他人の債務を担保するため質権を設定した者は、その債務を弁済し、又は質権の実行によって質物の所有権を失ったときは、保証債務に関する規定に従い、債務者に対して求償権を有する。
【動産質】
動産質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない。
動産質権者は、質物の占有を奪われたときは、占有回収の訴えによってのみ、その質物を回復することができる。
同一の動産について数個の質権が設定されたときは、その質権の順位は、設定の前後による。
【不動産質】 不動産質権者は、質権の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができる。
不動産質権者は、管理の費用を支払い、その他不動産に関する負担を負う。
不動産質権者は、その債権の利息を請求することができない。
1.不動産質権の存続期間は、十年を超えることができない。設定行為でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、十年とする。
2.不動産質権の設定は、更新することができる。ただし、その存続期間は、更新の時から十年を超えることができない。
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